㋺ 電脳彫刻の脅威       (2013.05.07 このページを新設。)

ダージャーハォー! 皆さんごきげんよ〜! 最近の偽物についてです。


下図の物は見た目にも怪しい契丹銭?

契丹文字風みたいですが嘘文字ですか? こんな文字は存在しませんよ!

似ている契丹文字をあてはめて見ましたが、下側の文字なんか似た文字すら存在しませんよ!

ń 、
g-en-ur 、
do-ri-hong 、?? 意味のある物にはなりません。

贋作バカ業者が調子に乗って作ったファンタジー品です。

背の月星がわざとらしくて、そこだけで贋作判断ができますな。(爆)



画像は某オークションから借りて加工してあります。

最近はこんな雰囲気の彫りが深い母銭みたいな古銭を目にする事があります。

その母銭を使った量産普及型の古銭は見掛けませんから変なんですけどね。

試鋳貨とか宮銭とか想像して判断して騙されちゃイケませんよ。


まあ大先生も騙されてるし。名誉欲とメンツで目が曇ってるかも知れません。(爆)

大先生だからと言って100%の信用はいけません。



同一版で多数出回っています。3枚見つかりました。

アレレちょいとお兄さん、もしかして落札しちゃったの?気付いてないのヤ〜ネ。

あれは違うのよ、本物じゃないのオカマちゃんなの!

アイヤ〜!ポコペン! プーヨーアル。(爆)


契丹銭に限らず、様々な年代の物が出回っています。

それらは彫りが深いですが、文字の出っ張り具合とか、錆加減も似ています。

大きさも拡大コピーした様に色々なサイズの物が出回っています。


さて当方はネタとして上図と同じ物を入手してみました。

入手だけじゃ何なんで解析してみましたよ。

まずは強力な酸を使って錆を落としたのが下図です。古銭が溶ける前に引き上げます。

右側は西夏銭ですな?

真鍮だか青銅だか、ずいぶんと不純物が少なそうな合金です。




かなり精巧に出来ている様ですが、これを拡大してみます。コントラストも強調しました。


まずは背ですが、

何やら切削痕の様な横縞が見えますな? 見えますか?





※追記です。

   機械制御の彫刻と言うと一般の方には判りにくいですが、身近な例がありましたよ。

   それは印鑑です。機械彫りの印鑑は切削痕が残ったままなので判り易いですな。

   Google等で画像検索してみて下さい。キーワードは「機械彫 印鑑」。



表面がかなり粗いので、切削して作った物をエッチング加工して凸凹を付けたか、

あるいはブラスト加工かも知れませんがサンドブラスト風には見えませんな。

または切削して作ったのは母銭で、それを元に鋳造したのかも知れません。

切削はコンピューター制御の彫刻機つまりCNCです。

CNCについては清の彫母銭の所でちょっと書きましたな。


次に面を見てみます。

下図の契丹銭の方はかなり細いエンドミルの痕が機械っぽい感じですな。

モロにコンピューター制御の縁取りですよ。明らかにタガネの痕じゃなく回転切削工具です。




下図の西夏銭は文字の縁取りに合わせて素地を切削した痕が判ります。

エンドミルの痕は円形なので、その円形が残っちゃっていますな。

その下の図では、判り易い様に当方が線でなぞってみました。






この2枚以外にも入手しましたが、痕が判りにくいので取り上げませんでした。

錆があれば何も見えませんが、酸で洗っても切削痕が見えない物もある訳です。


という訳で、偽物の世界も技術革新が進んでいます。

皆さんの鑑定眼も技術革新が必要かも知れませんよ。


例えば3Dプリンターもホビー用途で使える時代が迫ってきました。

まだ精度が足りませんが、偽物用の母銭とか簡単に作れる様になってきます。

3Dスキャナなども徐々に精度が上がりつつあります。

下図は 3Dスキャナでデータを読み取った500円硬貨ですな。


まだ精度は足りませんが、穴銭程度なら少しの進化でデータ化できそう。

そのデータをフォーマット変換してCNCに掛ければ偽物を切削できる訳です。

データですから、拡大縮小は自由自在です。


上記以外の話では、純銀粘土とかで簡単に銀細工ができちゃう時代になりました。

まあ銀粘土は焼結すると体積が10〜20%くらい小さくなるのが救いです。

歯科技工士とかの方法もあります。本物からシリコンで型を取って義歯みたいに作る。


隣の国ではこんな状態ですし。→偽物業者の現場写真

皆様ご注意を。



このページは完全に偽物です。上記に取り上げた工業用語で検索してみましょう。

現行貨幣の偽造は犯罪です。現行貨幣の偽物を見つけたらすぐに警察へ連絡して下さい。

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追記です。(2013.12.22)

下図の画像も偽物です。完全に電脳彫刻ですよ。









当方の目には下図も彫母に見えませんな。これも酸で錆を落としました。

細い無機質な縁取りは電脳彫刻痕ですよ。

エッチングによって表面がザラザラに加工されています。材質も均質です。

安価な加工機材の様で、エンドミル先端がブレた様な感じも見て取れます。(爆)

タガネで彫ったなら、こんなデコボコした細溝の縁取りにはならねーだろーよ。(爆)




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清朝時代の石像アル。本物アルヨ!


ぼく ど㋺えもん...

(爆)