㋺ 太平通宝、太平豊宝、天明通宝、嘉興通宝、祥符元宝、治平通宝、治平元宝
阮氏(The Nguyễn Lords)1558-1778
莫登庸に倒された当時の、黎朝の家臣であった阮淦の子孫がじっと我慢してきました。(爆)
黎朝は後黎朝となって復活しますが、鄭氏に実権を奪われた状態になります。
阮氏と鄭氏の間にも色々とあった様です。阮氏と「鄭氏の後黎朝」は対立紛争関係です。
阮氏は「広南阮氏」とか「広南国」などの呼称もある様ですな。
太平通宝(Thái Bình Thông Bảo)1725-1738
太平豊宝(Thái Bình Phong Bảo)1725-1738
阮福澍(Nguyễn Phúc Chú)1725-1738の時代ですな。
莫氏の太平通宝とは違いがあります。
下図は3枚とも典型的な似た様な書体です。マ頭通。
左の分類では正字と思います。光背(無背)です。
真中は背星。
右は背星で錯笵。
Barker #83.1 ⑦ Barker #83.3 ⑧ Barker #83.2 ⑦
(2017.04.11 左を追加。)
左は小字背星みたいですな。
真中も小字で背星みたいに見えますが「平」の点が丸いです。そしてコ頭通。
右は背二星ですな。
Barker #83該当無し Barker #83.4 ⑨ Barker #83.5 ⑧
(2017.04.11 3枚を追加。)
下図の様な書体の物もあります。正平に分類するには仰々しい様な?
Barker #83該当無し
左は背一ソ。
真中は背一ン? ソでもンでも結局は意味不明の謎記号という事に変わりません。(爆)
右も同様に一ソ。ズバリの該当はありませんがどれも似た様な価値でしょう。
Barker #83.6 ⑧ Barker #83該当無し Barker #83該当無し
(2017.04.11 右を追加。)
下図2枚とも亜鉛銭、祥宋手です。
左は歴代銭の分類。背星。
右は後の時代とおぼしき民鋳銭? 文字の癖が異なります。背右月、左星。
Barker #83.14 ⑥ 後の時代の民鋳銭
砂鑞という呼び名と祥宋手の話につきましては景治通宝の所で書きました。
下図は太平豊宝。背一ソ。
Barker #84.1 ③
天明通宝(Thiên Minh Thông Bảo)1746
阮福濶(Nguyễn Phúc Khoát)1738-1765の時代です。
祥宋手ですな。亜鉛(zinc)です。
左と真中は歴代銭の様ですが、
右は文字に違いがあります。「明」のマス目が小さいですな。そして背上月。後の時代?
Barker #85.1 ⑥ Barker #85.1 ⑥ 後の時代の民鋳銭?
(2017.04.11 右を追加。)
嘉興通宝(Gia Hưng Thông Bảo)1780-1802
阮福暎(Nguyễn Phúc Ánh)は後に阮朝を興して初代皇帝の嘉隆帝になりますが、
広南阮氏の頃、西山朝と敵対していた頃の阮福暎です。
下図2枚とも亜鉛銭、祥宋手です。
左は歴代銭の様ですが、
右の物は文字に違いがありますな。宝の貝に癖があります。ユ頭通ですし。
Barker #86.1 ⑥ 後の時代の民鋳銭?阮朝の官鋳銭?
祥符元宝(Tường Phù Nguyên Bảo)
治平通宝(Trị Bình Thông Bảo)
治平元宝(Trị Bình Nguyên Bảo)
その他の広南阮氏の銭です。
左は祥符元宝です。しょしょ祥宋手?じゃなくて銅銭だから祥符手でした。(爆)
真中は治平通宝。これも祥符手ですな。
右も治平通宝で篆書。祥符手です。少々寛縁気味かも?
Barker #87.1 ⑦ Barker #88.1 ⑤ Barker #88.2 ⑥
左。同様に治平通宝で篆書。祥符手。
同じ文字形状をしている祥宋手の亜鉛銭が存在していますな。
真中。こちらは濶縁手の治平元宝、篆書です。 Barker先生によると広南阮氏の銭。
よく観察してみれば宝の字などの文字の癖が祥符手の左の銭によく似ていますな。
Barker先生の説を否定するのも自由ですが、昔の手類銭の分類にも誤りはあるでしょう。
右。これは平南手ですな。 まるで祥符手の治平通宝をそのまま亜鉛銭で作った感じです。
この例を見てもBarker先生の説は説得力がある様に感じました。
Barker #88.2 ⑥ Barker #89.1 ④ Barker #88.5 ⑦
(2018.10.27 3枚を追加。)
真贋は永遠の謎。