㋺ 順天大宝、乾符元宝、明道元宝、天感元宝、治平元宝
李朝(Lý Dynasty)1010-1225
チャンパ王国やお隣の宋と紛争があった様です。
1174年には南宋から冊封を受けます。南宋の年号では淳熙元年の事でした。
順天大宝(Thuận Thiên Đại Bảo)1010-1028
李太祖(Lý Thái Tổ)1010-1028の時代。李公蘊(Lý Công Uẩn)とも言いますな。
下図の順天大宝は文字が怪しいですな。作りもしっかりしており出来過ぎの感じです。
これと同一版の物は中国の売り手が偽物と一緒に安く出してました。まあ偽と思います。
同じ物が売られているのは何度か見ましたが、別版の本物は写真でしか見ませんな。
Barker先生のサイトで本物写真を見る事ができます。本物なら評価は★★★。
(Barker #3)たぶん偽
乾符元宝(Càn Phù Nguyên Bảo)1039-1041
李太宗(Lý Thái Tông)1028-1054の時代。李佛瑪(Lý Phật Mã)とも呼ばれます。
乾符元宝は安法手に見えますがBarker先生は李朝の銭に分類しています。
最大様の銭で亜鉛が含有されていなければ李朝の物との事。
銅合金に亜鉛を入れると鋳造し易くなるらしいので、後の時代にはほぼ亜鉛が含まれます。
亜鉛の製錬技術が世界に広まったのは黎朝頃からなので成分分析が必要との事です。
下図の左は直径も小さく、後の時代に作られた安法手ですな。
真中は直径22.4mm。最大様よりも小さいかも。(爆)
右は直径23.3mm。これは書籍の写真と細部まで似てますよ? もしかしてOKじゃない?
これは安法手。 (Barker #4)今一歩 Barker #4.1 ①
(2016.12.04 左の銭を追加。)
明道元宝(Minh Dạo Nguyên Bảo)1042-1043
同様に李太宗(Lý Thái Tông)1028-1054の時代。
北宋銭に似ています。
左は細縁。
右は狭明狭元。
Barker #5.2 ④ Barker #5.3 ③
天感元宝(Thiên Cảm Nguyên Bảo)1044-1048
これも本物なら李太宗(Lý Thái Tông)1028-1054の時代。
下図の天感元宝は100%偽物です。 偽物セット中の1枚で、たくさん出回っています。
当方のサイトでも助国、壮国や千秋万歳篆書で同じ系統の偽物を載せました。出来具合が同じ。
Barker先生のサイトを見ると本物の評価は★★★〜 ★★。
(Barker #6)100%偽物
治平元宝(Trị Bình Nguyên Bảo)1205-1210
李高宗(Lý Cao Tông)1176-1210の時代。
左の物は長字手ですな。北宋銭に似ています。
真中は安法手ですな。 直径22.7mm。こちらは厚みが薄いです。
Barker先生の掲載写真に対して下図の物は細部まで似ています。これはOKかも?
右も安法手です。直径22.8mm、厚みが1.1mm。普通の安法手より厚みがある様な?
(2018.01.16 真中を追加。)
Barker #8.1 ③ Barker #8.2 ④ (Barker #8.2)もうちょっと
安法手の2枚ですが、
上記の乾符元宝と同じで亜鉛の含有が無ければ李朝かも知れません。
また特徴的な安法手的な「元宝」の文字は李朝末期から始まったとの事。
そう言われれば陳朝の元豊通宝や紹豊元宝も同じく特徴的な「元宝」ですな?
上図の2枚も成分分析してみないと判断不能ですが、まあたぶん後世の安法手と思います。(爆)
2015.05.19追記。ただし鍮石、仮鍮などの名称で天然由来の真鍮は古代中国に存在し、
日本でも正倉院宝物などに真鍮品を確認する事が出来ます。
更に意図的な亜鉛合金として12世紀に作られた荒川経の金泥文字が真鍮であった事が
判明しております。亜鉛の含有だけで判断するのは現時点では時期尚早です。
咸平元宝(Hàm Bình Nguyên Bảo)1205-1210
李高宗(Lý Cao Tông)1176-1210の時代。
左はこれも長字手です。
右は参考掲載の安法手。李朝とは無関係ですが、ちょっと似てるかも?
Barker #9.1 ③ 普通の安法手
真贋は永遠の謎。10円硬貨も亜鉛が3%くらい含有され李朝の銭とは言えませんな〜。(爆)
◆順天大宝、乾符元宝
明道元宝、天感元宝
治平元宝、咸平元宝