㋺ 助国元宝、助国通宝、壮国元宝、壮国通宝 (東丹国)
下図の左上から「助国元宝」「壮国元宝」「壮国元宝 銀銭」。壮国の小平は薄いです。
左下から「助国通宝 折三」「壮国通宝 折三」。
安南銭に似た物があります。壮の土に点が無い物は安南銭の可能性高し。
銭名の話です。
助国、壮国、これらは元号銭ではありません。ではどういった銭なんでしょうか?
大先生によると、五代十国末期は戦争と波乱の時代で人心が乱れていた。
そんな時代で安泰を望む人々が増加していた。そこで「助国」という言葉が流行した、
との事です。聞こえがいい銭名を付けて支持を得たという事でしょうか?
次に壮の字ですが、壯(ソウ・さか-ん)であって牡(ボ・おす)では無い、との事です。
壮の文字についての説が掲載されてます→ 牡国元宝的“壯”字原本即“壮”字辨
壮国という意味について考察されています→ 为弟登基壮威钱—“壮国元通宝”钱。
下図が元宝の大き目版。
左上は「助国元宝 折三」、右上は「壮国元宝 折三」。
下が「壮国元宝 折五」。
ちょっと記憶が曖昧ですが、
左上「助国元宝 折三」の「助」を「大」に置き換えた「大国元宝」を見た記憶があります。
元朝の「大元国宝」と勘違いして高値をつけた奴にヤられました。対読じゃなく旋読!
「助」以外の字は「助国元宝 折三」と同じですから、知っている人であればピンと来ます。
(2015.08.17 草書体の大国元宝を掲載しました。)
「大国」というのは、大きい国じゃなくて、「大」氏の国という事です。
初代の渤海王「大祚栄」などが居りましたな。
国民を黙らせる名目上の銭銘と思いますが、渤海国の後継が東丹国という訳です。
大国=mos-i gur=大(氏)国 つまり渤海王の大氏の国、東丹国。
牡国はつまりオスの国。じゃあ牝の国は?アマゾネス?(爆)
(2014.04.07 下図の8枚を追加。新掲載は7枚です。)
改めて小平銭です。別版と偽物について見てみましょう。
まずは壮国元宝から。
下図の左は細字の確かな品物です。右は砂型で厚みは薄くはなく普通ですな。
この砂型銭に酷似した物は天賛通宝や天顕通宝にもありまして、背の感じも同一です。
更に、先生方も公開していますから問題無いとは思います。
本物 本物?
下図左も砂型ですが、これは「壮」の字に点が無いタイプです。判断は難しいですが、
まあ見た目は遼の砂型銭ならではの特徴があるので、これは大丈夫と思います。
真中は偽物です。写しじゃなくて、真似て作った贋作でしょう。
偽物古銭セット中の1枚です。販売時の状態はもっと錆や土埃が付いています。
その下の助国の偽物も、千秋万歳篆書銭の偽物も、みな似通った特徴がありますよ。
左の銭がオリジナルでしょう。書籍の拓本か写真を元に頑張ったんでしょう。(爆)
右も偽物です。これは彫りが深く厚みも2mmくらいあります。これは全然違いますな。
本物? 偽 偽
イケませんな。
下図は助国元宝です。
同様に左は薄目の物。真中が砂型タイプで、このページの一番上に掲載した物です。
助国には細字もありますが当方は目にした事がありません。細字は稀少と思います。
そして右の銭が偽物です。 これも上図真中の偽物といっしょの偽古銭セット中の1枚です。
入手時には土埃が付いて古そうに見えますから注意ですよ。
本物 本物? 偽
別版が多い古銭では何とも判断が難しいですが、数種の版しか存在しない稀少古銭ならば、
比較するのも簡単と思います。存在する全ての版と比較すれば良いのです。
拓本を真似て作っても微妙な違いが生じます。
文字は似ていても素地の凹凸等で判断できる場合も多いですな。
助国、壮国に関しては「元」の字に特徴がありますから、偽物もやり過ぎちゃうんでしょう。
仰々しく見えますよ。(爆)
偽物も数百円くらいなら研究材料としては良いでしょう。
大金を出すのなら、しっかり研究して本物と思われる物を入手しましょう。
真贋は永遠の謎。コピーやパクりが当たり前の隣国では罪悪感無く偽物を作っているかも?