五銖の派生を少々


五銖は大ヒットしまして似た様な銭を色々な国が鋳造しました。貨泉なども登場します。

普通の銭で安物ですが、まあ鑑定の基準として掲載してみます。


下図の左は漢代の出来が良い大きめの物、真中は六朝期か?、右は隋の物。


左の物は磁石にくっ付く銅合金。 右の隋五銖は濶縁なので判り易い。



下図の左は「銖銖」で、右の「銖」が左右反転です。反転しない銖銖もありますな。

真中の銭は「卍卍五銖」で白銅製? 銭の出来具合が後世の物に見えます。

右側の銭は豊貨。鋳造は後趙で五胡十六国の時代。


銖銖は趣味用のファンタジー品という説があります。

白銅の融点が高い事は問題になりません。鉄五銖もありますからね。



下図の4枚は全て貨泉です。前漢末の「新」で王莽が作った銭。安いです。

大きさは下図の通り色々あります。秤量貨幣だったとか。




下図の左も貨泉ですがブ厚い「餅貨泉」と呼ばれる物。「新」です。

右は「布泉」です。 布泉は貨泉と違う存在感の様ですよ。お調べ下さい。こちらも「新」。


餅貨泉は英語圏ではBiscuit Huo Quanとか、Cake Huo Quanと呼ばれている様です。




下図の銭銘には五銖貨泉とありますな。かなり分厚いので餅貨泉の一種でしょうか?

しかし銭の作りを見ると唐代以降の様な形状をしています。何ですかね? 謎古銭。


(2013.12.26 追加。)

これを遼鋳と唱える大陸の先生も居りますよ。 独特稀罕的辽铸《货泉•五铢》特厚铜钱鉴赏

仮説の根拠が不十分の場合は話半分としておきましょう。(爆)




下図の3枚は直百五銖で蜀漢です。蜀漢と言えば三国志演義。

左は本物と思います。真中の物は百が丸く怪しい。「背為」じゃなくて偽とか?(爆)

右の背為は偽物じゃなくて本物です。縁の部分が厚く文字よりも出っ張っています。


(2013.12.26 右の銭を追加。)

百が丸い拓図は「日本貨幣カタログ」に載っており、それを写したんでしょう。

ちなみに当方は、百が丸っこい本物の直百五銖は見た事がありません。(爆)




下図の左が太平百銭で蜀漢。太平百銭は色々書体があり、掲載品は安いやつです。

真中と右が大和五銖。 大和五銖は北魏。 真中のは「大太」という普通クラス。右は安価。







左の銭は常平五銖で北斉。

真中と右は太貨六銖です。南朝の陳ですな。直径は25mmより大きいです。


(2013.12.26 左の銭を追加。)(2016.07.09 真中と右を追加。)


太貨六銖ですが、「太」と「六」の文字に特徴を見る事ができる物も多いです。

下図の様に、赤い部分が乗り上げている感じです。擦れた銭はその特徴が確認できません。


(2016.07.09 図を追記。)





下図の左は両面が裏という、五銖?大泉五十?貨泉? これじゃ区別がつきません。

  でもまあ、穴径と直径から貨泉が最有力候補っぽいと言う? いわゆる合面銭です。

真中の銭は永安五銖で北魏。永安五銖の中では一般的な形状とサイズですな。

右も同様に永安五銖ですが、「背土」です。背の郭はちょっと四決。


(2013.12.26 左の銭を追加。)(2016.07.09 真中の銭を追加。)


背土ですが、

四角穴は口という形で、その上に土がある。つまり「吉」と読む、という説があります。






真贋は永遠の謎。 大金をつぎ込んではいけません!入手する貴方は散財家。(爆)

→次のページ





背土じゃなくて「背工」は明朝銭に多くありますな。

四角穴はロという形、その上にエ。もう貴方は「えろ」としか読めない。(爆)