大康通宝、元宝


下図は大康通宝と元宝の小平銭です。数の多い普通の大康通宝が無くてすいませんな。

左は大康通宝の濶縁広穿で少ないです。

真中と右は「大康元宝 斜長宝」で、右は銀銭の合背です。


出土状況から広穿タイプは遼銭で確定です。牡国手ではありませんでした。




下図の左が「大康通宝 濶縁広穿 合背」上図の物より更に普通じゃない方向でご免。

真中が通常の折三銭で、普通の小平銭の次によく目にします。

右が「大康元宝 大字 折三」全品が初めからボケボケです。書籍「遼金銭幣」に掲載あり。





小平の中には、「大」が「太」になっている物もある様です。これです。

(2014.05.17 追加。)

そんな風に言われて見れば「太」かもしれない程度ですな。判りにくいです。

んまー「太康通宝」という事で。(爆)

広穿の一種でしょう。





下図の物は折五銭です。ちょっと厚みがあります。「寳」の貝が具みたいに見えますな。

右の銀銭は異様に厚く、左の銅銭の2倍弱の厚みがあります。


山人自藏大康通宝钱   山人自藏大康元宝钱



下図は別版の折五銭です。

左が銅で、右は銀銭です。多くの書籍に掲載がある最も有名な遼の銀銭でしょう。

「寳」がウかんむりじゃなくて、穴かんむりです。穴かんむりは天賛通宝で出ました。

もっと下に掲載の大銭2品と合わせて、4品種だけに見られる「穴かんむり」。謎です。

「通」も特徴があります。まあ遼銭なんで「寳」も「通」も誤字なんじゃない?(爆)

銅も銀も遼の折五銭にしては厚みが薄いです。


非常に似た物が存在する様ですが、穴かんむりじゃなければ偽物です。




下図の折十銭は書体が隷書です。あまり見かけませんな。

これも東丹国-興遼国の系統と思います。






さて、下図には2種の大銭を掲げます。「大康元宝 大銭」「大康通宝 大銭 背契丹文」

下の2品は同じ様なスタイルです。厚みもまあまあですな。

他の元号で似た物は無いです。鍍金品や銀銭等があるかはまだ判りません。

こっちも「寳」は穴かんむりの様です。





上の契丹小字は 
g-ün=軍、もしくは「群」です。

先生方も書いてますが、特別軍用銭という説がひとつ。他には鎮庫銭という説です。

はっきりとは判っていません。研究中という事ですな。

代大康通宝背契丹小字“军”字大钱考  珍泉《大康通宝背契丹文“军”》镇库大铜钱展赏





下図の物は別のブ厚い大銭です。

景福通宝の大銭と同シリーズで、清寧通宝 大銭よりも更に彫った跡の凹凸がありますな。

このシリーズはみんな仕上げ、厚さ、直径、奇麗な作りで共通しています。






さてさて、下図の物は巨大銭です。いつ見ても金ピカ。(爆)

「大康元宝 鍍金巨大銭 背陰刻契丹文」 ファンタジーじゃなく本物の可能性が高いです。


大康元宝背阴刻契丹文大康元年鎏金大钱欣赏

薄い巨大銭のシリーズで、祭祀用説。


契丹小字に行ってみましょう。

mos=偉大な、 
d-iu-ren =徳。と書いて、

大徳じゃなくて「大康」を意味するそうな。


yu-úr=元、 似てる字で
g-úr=国、 
g-ün=軍、 間違い易いです。


mos
d-iu-ren =大康、 
yu-úr=元、 
ai=年。

「大康元年」です。



ここではたと思い出しました。

「大徳元宝」の直径5cmくらいの銭が出品されていた事がありました。

銀と銅がありましたな。手裏剣みたいな四出で遼銭っぽかったですが、

元朝の大徳元宝と思い入手しませんでした。

あれは大康年間に作られた遼鋳の記年銭だったかも知れませんな。

  (※追記... 見つけた、これだ!→元代大德元宝银质大钱欣赏 )





真贋は永遠の謎。

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契丹文字の読みと解釈は全て他所からの引用です。