会同通宝、元宝


下図は小平銭です。左は標準型。真中は合背。 右は背星。

文字形状は3枚とも同一ですな。ほとんどがこのタイプです。






左と真中は小平銭の簡化会とか、云会というやつ。これは本当に遼銭と確定なんでしょうか?

  左の物は摩耗具合と錆加減が偽物のシリーズに似ています。文字も微妙にアヤシイ。

真中は銭の作りがしっかりしています。こっちの方が良さそう。(爆)かなりの珍品ぽいな。

右の1枚は会の字の上の所「Λ」がズレて「人」になっているやつです。これも激珍品みたい。

  中国古銭大集に掲載されている拓本はこれと同一形状に見えますな。


(2016.01.02 真中と右を追加。)

话说俗写“会”字版《會同通宝》钱——专家的肤浅与危害性

会同通宝元宝集赏 ←膨大な量の掲載写真です。





下図の2枚は「元宝」です。滅多に出ない稀少品ですがマイナー過ぎて怪しがられてます。(爆)

左のは元宝の標準型でしょう。

右の物は文字が小さくボケています。簡単に言えば写しですな。

  ただし、背には「モ」と刻んであります。背陰刻文「モ」。ほとんど見掛けません。

  モって何? 楽天イーグルスのマーク?(爆)

(2016.01.02 右の銭を追加。)

「モ」に見える陰刻は契丹小字の数字で、「1」です。

大先生のブログでは会同、天禄、応暦の3品が掲載されていますが、清寧も見た記憶があります。それらは同時に作られた感じがします。遼代末〜金朝くらいに写した物かも知れませんな。

一文銭の「1」という事では無さそうです。意味は不明です。(爆)

辽钱旋读元宝钱集锦






下図の左は折三銭。右が折五銭。小平の普通品と同頻度で見掛ける事があります。

同一版の銀銭は下の方に掲載しました。この折三と折五は書体が似ていますな。

これらと同じ書体で直径67mm超の大銭が存在します。当方非所持。


鎏金“会同元宝”大钱鉴赏    珍《会同元宝阔缘折五银钱》赏品






下図の左は折三の「通宝」。これはなかなか見ない珍しい折三です。

下図の右は折五の通宝で少ないです。コーヒー色の厚い砂型のシリーズ。あまり見掛けません。

右の銭は渤海人の鋳造技術による物かも?






下図の左は折十銭です。材質が白銅みたいにも見えるんですが、錆びにくい銅合金。

右は折五の銀銭です。





下図左の折十銭はちょっと正体不明です。荒い表面で怪しい。ファンタジー率99.8%。(爆)

デザインは2段上の図にある赤黒い砂型の折五銭に似ていて整っています。

右は折三の銀銭です。背星。




白銅銭とか銀銭の分析をしたくなりますが、古銭貧乏の当方には無理ですな。

金属の非破壊分析に使用する蛍光X線分析装置は最近安くなって数百万円になりました。

レンタルで分析機を借りる場合、最安値では1日で1万円?

x線を使うのでレンタルであっても使用前に官庁へ申請し許可をもらう必要があります。


腐食が進まない理由は何でしょう。乾燥地帯に密封されて保管したから?

当時も銅-亜鉛合金はあった様ですが、高濃度で亜鉛を含む「真鍮」は無いと思います。

真鍮も錆びますし、錫とかアンチモンとか鉛の入った青銅の類も錆びます。


可能性があるのはニッケルを含んだ銅合金くらいでしょうか。

ニッケルの単体が分離されたのは18世紀ですが、ニッケル銅合金は古代から存在しました。

紀元前のバクトリア王国のコインにニッケル銅合金(白銅)の物があるらしいですな。

青銅に比べて融点が高いのでニッケル白銅は多く作られる事はなかった様です。

明朝くらいになると技術が進みニッケル白銅はたくさん作られる様になります。


   2015.05.19追記。ただし鍮石、仮鍮などの名称で天然由来の真鍮は古代中国に存在し、

   日本でも正倉院宝物などに真鍮品を確認する事が出来ます。

   更に意図的な亜鉛合金として12世紀に作られた荒川経の金泥文字が真鍮であった事が

   判明しております。亜鉛の含有だけで判断するのは現時点では時期尚早です。







真贋は永遠の謎。執着駅。(爆)

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