天賛通宝

書籍「中国古銭大集」には安南鋳、非遼銭と記載があり安南銭と思われてきました。

またネット上で検索してみますと、安南銭と判断されている方も多い様です。

しかし書籍「遼金銭幣」では、遼の故地から多く出土していると記載があります。

属遼鋳無疑 非安南所為との記載です。他の書籍でも近年の出土状況から遼銭との結論です。



さて、下図の物は小平銭です。

左と真中が同一版で多いタイプ。右は寳がデカい別版で少な目?

左と真中はうっすらと背月。右は背月と言うよりかはオデキですな。

「通」の字のしんにゅうですが、書き終わりの所が虎の尾みたいに上に曲がってるやつを

「虎尾通」と言うらしいです。天賛通宝の小平で虎尾通でない物は見た事ありません。


掲載した物以外の別版が存在するならば、それは偽物かあるいは安南鋳かも知れません。




下図はまた別版の小平銭です。こちらの3枚は字が大き目です。

「寳」がウかんむりじゃなくて、穴かんむりになってます。(大康通宝でも出てきます。)

左と真中が背斜月で「遼金銭幣」にも同一版の鍍金銭と共に掲載されています。

右は砂型っぽい別版ですが、大先生の公開してる中にもありますな。少ないです。






下図は折三銭です。左が銅銭で右が銀銭。







下図の物も折三のサイズですが、あまり見掛けません。

このタイプの銭は天賛通宝以外にもけっこうありまして、独特の仕上がりです。


このタイプの他の遼銭には同一版で鉄銭が存在します。

要は、鉄銭と同じ鋳造技術で作った様に見えます。

当方の調査が不足してまして、必ず鉄銭が存在すると言いきれない所がナニですな。

このタイプの寿昌元宝では銀銭も存在しています。


いずれもコーヒーの様な色と砂型、厚みがある。折三サイズ〜 折五サイズしか無い?

でも、上に掲載した様な小平の砂型銭も何種類かあり、同じルーツかも知れませんな。



2015.01.07追記

  推測ですが東丹国の建国が関係しているかも知れません。

  東丹国のあった地域は渤海国でした。鉄の産出が多く鋳鉄技術も高かった様です。

  Wikipediaの渤海国を開いて、ページ内を「冶金」で検索すれば該当箇所が見つかります。

  更に、天賛五年には渤海国が遼に滅ぼされ、遼の属国である東丹国となります。

  時代的にもぴったり合いますな。






真贋は永遠の謎。コーヒー・ゼニー。(爆)

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