㋺ 乾亨重宝、 乾亨通宝 [南漢] (2015.09.21 加筆および再編集。)
下図の乾亨重宝、乾亨通宝は一般的には南漢という話ですな。
乾亨重宝です。入手が容易な鉛銭じゃなくて、下図の物は3枚とも銅銭です。珍品でしょう。
左は通常版の銅銭。 日本貨幣カタログにも掲載されています。市場価格も安くはなりませんな。
現存数が少ない割には別版が多いと言いますか、一品一品が微妙に違ったりしています。
真中と右は「背邕」の銅銭です。この品物は銭譜にも未掲載だったりします。
鉛銭にも似た様な文字形状で、銅銭にしてはサビが変な色してます。錆びが剥離する感じ。
巴の上側が不明瞭で「邑」であるとか色々と説がある様ですな。
普通の銅銭と鉛銭の中間的なタイプ? 鉛銭の母銭? 銅の含有が高い鉛銭? 不明です。
(2015.09.21 左の1枚を追加。)
乾亨重宝は南漢で確定ですな?
乾亨通宝です。このクラスになると大珍品ですな。
南漢であるという説と、遼銭であるという説があります。
遼銭研究を専門にやっている中国の研究家先生によりますとすべてが遼鋳であると言っています。
さて、どうでしょう? →遼の乾亨通宝、元宝
下図の3枚ですが、左の版はまれに古銭商でも見掛ける事があります。
当方の見解ですが、左の版が南漢の鋳造なのではないか?と思っています。
古銭商で見掛ける同一版を見てみますと、背の郭も同じ形状をしている様です。
真中と右は同一版でしょう。左の版と異なりますな。
遼鋳説を唱える先生方は真中と右の版しかお持ちではない様な?
当方の入手の経緯などからしても、左が南漢、真中と右が遼鋳なのかも知れません。
中国古銭大集には両方の版に相当する拓本が掲載されています。
(2015.09.21 左の1枚を入れ替え。) 真中と右は穴径だけが違いますな。
(2014.07.24追記。)
参考書「契丹銭樹鑑賞与投資」には上図と違う旋読版の写真は掲載されていますが、
上図の様な対読版の掲載は無し。銭樹も出土していないんでしょうか?
まあ早急な結論は避けた方が良いと言う事で御座います。
広東省あたりの墳墓などから乾亨通宝が出土すれば南漢説も有力となります。
真贋は永遠の謎。
◆乾亨重宝、乾亨通宝